狐クロニクル 第二話

01/08
とあるアパートの一室
13:09
「おーいみーさん。昼何食いてェ?」
〔僕は赤○きつねー〕
なるほど。
狐だけあって油揚げが好物らしい。
「んじャ俺が緑食うか」
四分後
「ふう、旨かッた」
〔……ねえ、そういえば君の名前聞いてないんだけど?〕
……ん、名前ねぇ。
……んし、アナグラムで……。
「……偽名だが
たなもと ひろかが

ひろたもと かがな
のどッちか」
〔偽名なの?
じゃ、ひろたもとで〕
「そォか。漢字は
広袂 夏ヶ南
だ」
〔……本名のアナグラム?〕
へえ、思ったより頭の回転は速いようだ。
取り敢えず武器に頼ってる感じはしねぇな。
「くは、そう思うんならそうだ」
〔……変な考え方。で? 実行は?〕
……依頼の実行か。
「お前を狙うやつが此処に来たら」
さて、どう返す?
〔……ん〕
恐怖はしてるけど、て顔だな。
……信頼されたかぁ?
いや、いくらなんでも早すぎだろ。
探ってみっか。
「いいのか? 怖くねェのか?」
〔……どう答えてもバレるからノーコメント〕
ん……結構信頼できっかな。
とりあえず記憶も判断も悪くは無い。
「あ、そうだ。お前武器は?」
〔銃三種類と自分の体〕
「へえ、やるねェ。因みに俺ァナイフ三種類だけ」
〔そっちの方が凄いよ。僕はただ怖いから銃を使ってるだけだから〕
……ん?
こいつ今自虐したか?
「……そうだ、お前ちョッと俺を殴ッてみろよ」
〔っやだ!〕
「ッ……ォォ?」
〔あっ、逆らう気は無いです!〕
ん、むず痒く無い?
……本心、からの敬語か。
「いや、分かッてる。大丈夫だ。悪いな」
〔……僕は、誰も傷つけたくは無いっ……! 君に銃を向けた時だって、本当は嫌だったんだ!〕
ガシャン!
「お、落ち着け、赤の汁かかッてんぞ」
…………どうなってんだぁ?
暴力がタブーなのか、こいつ?
「……ん、お前。ちョい手ェ見せろ」
〔え……?〕
……やっぱりだ、こいつ。
指紋が変だ……!
「お前、この指なんだ?」
〔え、え?〕
「どうして指紋がくッきりして縦線ばッかなんだよ!?」
……。
〔わ、わかり、分かりません、ごめんなさい……!〕
「ッあ、いや、俺が悪ィ……。……なあ、一つだけ答えてくれ。
……お前、人間じャねェな?」
〔ちっ、違うっ……!〕
……掛かったな?
「……なあ、俺は嘘を見抜ける」
〔ッ!!〕
……忘れてたんだ、やっぱりこいつ。
「……だからよ、その前にお前から教えてくれねえかな?」
〔…………ぅ、ううぅっ……!〕
ブンブン!
……なんでそんなに首振って……。
理由でもあんのか?
……やってみっか。
「みーさん、今から言う質問にはいいえと答えろ」
〔え?〕
「行くぞ?
1・お前は機械か?
2・お前は狐か?
3・お前は暴力が嫌いか?
さ、答えろ」
俺は人間嘘発見器だ。
こんな事くらい造作も無ぇんだよ。
〔っ……!
1・いいえ!
2・いいえ!
3・いいえ!
答えた!〕
よし。
分かった。
「もう少し質問すんぞ
1・お前は暴力が大嫌いか?
どうだ?」
〔1・いいえ!〕
「一応質問するぜ
1・お前は人間じゃないよな?
この質問で終まいだ」
〔1・いいえ!〕
……え?
ま、待て、え?
「……次の質問にはい、と答えろ
1・お前は人間だよな?
……どうだ?」
〔1・はい!〕
嘘だろっ……!?
……………………。
「おいおいマジかよ……」
〔え?〕
……ふう、おーけい、分かったぜ。
こいつは
機械で有り
狐で有り
《人間で有る》!
……そして、暴力がタブー……。
……俺は、《本心》を視るんだ。
……だから、これはドレかが嘘なのか全部が本当なのか、《分からない》。
「くッそが!」
〔!〕
「…………お前は、《なんなんだ》! くッそ!」
〔え、う……?〕
「……お前の依頼、俺が100倍返しで解決してやんよ!」
俺は、絶対にコイツを守ってやる!
今はコイツが何かは分からない、でも守る事は出来るはずだ!
……一般人だって、やるときゃやるんだよ!







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