狐クロニクル 第三話

01/12
04:11
トゥルルルルルル
トゥルルルr
ガチャ
【あいよもしもし】
「……ん、店主か?」
【そうだ】
「王様の耳は?」
【クリスタル】
「ん、本物だ。……なあ、新しいナイフを作ってくれ」
【あいよ。どんなナイフだ?】
「貫通力の有るナイフ50本

とにかく軽くて斬れ味が有るやつ
と……最後に、
体術を要にするナイフ
を頼む。材料が余ッたら貫通力の有るナイフを作ってくれ」
【500万〜】
「3億」
【……くくっ、イカれてるね】
「本当にな。……客、増やせよ」
【……あ? お前どうした?】
「俺、新しく依頼受けてな。その依頼をいつやるか考えてんだが……。
たぶん、死ぬ」
【ッ……。お前がか?
……ん、そうだ。俺二月の初めから三月の終わりまで店空けてっから】
「…………ありがとな、俺ァ今泣きそうだぜ」
【その言葉聴いて俺はちびりそうだ】
「……くは」
【……くく】
「……じャあな、
相棒」
【じゃあな、
一般人】
ガチャ
「……なんの因果か応報なんだか。どーして俺が死ななきゃなんないのかねえ」
〔……………………〕

01/23
03:18
トゥルルルルルルル
トゥル
ガチャ
【出来たぜ】
「そうか」
【……12:00に、いつもの倉庫だ】
「…………あァ」
〔…………〕

09:54
「ん、ちョい出かけてくるわ」
〔…………《倉庫》に?〕
「ッ…………いつから聞いてたァ?
盗み聞きとは躾が成っていませんなァ」
〔……狐は耳が良いからさ、聞こえちゃうんだよ〕
「…………」
どうして……どうしてお前はこの場面で嘘を吐けるんだ?
……。
「そんで?」
〔着いていく〕
「…………」
答えは一つじゃないって言うが、この時ばかりは一つだなぁ。
「仕方ねえ、行くぞ。12:00までに着かなきゃ駄目なんでな」
〔ん〕

11:42
【…………おお、速かったな】
「お前もだろ?」
【まあな。……ん、その後ろに居るのは?】
「ペット」
【〔!!?〕】
「愛玩動物。玩具」
【おまっ……!? な、そんな趣味だったのか?】
「お前が思うならな。タバコ良いか? ……ッて、お前どうした?」
【……お前、変なところで天然だよなあ。どーぞ】
「そうかあ? あいよ。っつか戻れよみーちゃん」
〔みっ……!!?〕
【喋った!? いや喋るのが当然かもしれないけど!】
「あーもううッせえなあ。……タバコうめー」
〔…………っ!〕
「ん?」
〔タバコは止めて〕
「あ? ……ああ、なるほど」
狐だからか?。
〔それにしてもタバコ吸うんだね〕
「嫌煙者の前では吸わねェんだよ。なんとなくお前嫌煙ッぽかッたし」
〔え、じゃあなんで今?〕
「倉庫広いからな。お前の方にャ行かねえと思ッたの」
【……さて、そろそろブツ渡して良いか?】
「ん、おお。すまねえな。そのカバンもッてくぜ」
【まあたカバンごとかよ。ま、いいけどよぉ……】
「さんくー。……さて」
じー
……んーっと?
「……これか?」
【? それが体術用だけど?】
「お、これでいいのか。ラッキー。……みーちゃん、こッち」
〔ん?〕
「ほい」
〔ひ!?〕
「……受け取れ、鞘付いてッから」
〔……や〕
「るせェ、受け取れ」
〔いや、怖い!〕
まだコイツはこんな言を……。
「受け取れッてんだよ馬鹿!!」
〔いや!!〕
「てめえは銃だけでやッてく気か!? 馬鹿か! 弾切れたらどうする気なんだよ!」
〔切らさない! 体で戦う!〕
「ナイフすら使えないのに体術だァ? 笑わせんなこの大馬鹿狐女!!」
〔うっ……〕
「……頼むよ、俺ァお前が大事なんだよ……!」
〔…………〕
「頼む、受け取れ。使わなくたッて良い、でもな。常備してくれ。頼むよ!」
〔………………………………〕
「これを持ッてるだけで良いんだ」
〔………………分かったよ。ただ、持ってるだけだよね?〕
「! ああ!」
〔…………捨てないよ〕
「悪ィ!」
【…………お前が、依頼者なのか?】
〔…………ええ、はい〕
【途中参加受付中か?】
〔…………?〕
「お、おい!?」
【……何円1ゲームだい?】
〔…………命、掛けてるんです〕
【うっはー、1ゲーム1ライフですか。こらまた重い思いねえ。んで、武器は何までいいのかな?】
〔……え? あの?〕
【何でも有りなら手伝うぜ、狐さん】
「そうか、ありがたい! ッつー事は俺んちに住む事になるぜ」
【mjd?】
「mjd!」
【あれま。じゃー家から武器っつーか工具と鉄とか持ってきていいか?】
「護衛するぜー」
〔あ、は、はい!?〕
【……くく、面白いな】

01/24
00:23
「ッあ゛ー! 重かッた!」
〔…………!!〕
【そうかー? お前ら筋力無いなー】
「お前がッ……おかしいんだよッ……!」
ドンッ!!
「ッは……もうやだあ……。もう持ちたくねー」
ドンッ!!
〔っはー! っはぁー!!〕
ドンッ!!
【ふう】
「はあっ、はあっ……はあっ! …………ちョい管理人に言って、部屋借りてくる……」
【いってらー】
「ああくそ……」
数十分後
「とりあえず四部屋借りてきた……右と左とその下の部屋だァ……。そっちに置いてけ……」
くっそドンドン金が飛んでく……。
【あいよー】
……ん、そうだ。
「あ、おい店主。アイツにも連絡取った方が良いかね?」
【んー? ああ、《アイツ》ね】
〔…………?〕
「ああ、俺たちの親友で天才。碧眼碧髪の日本人だ」
〔ふーん〕
「で、だ。《とある場所》の位置を教えてくれ」
〔っ…………!?〕
「……あ、自分で言って良いか。ッつー訳で電話するから待ってろ」
トゥルルルルルル
〈……ん、何?〉
「あ、くーさん? 少し用事が有る」
〈何、《仕事》?いいよ〉
「悪い。……みーさん、場所どうぞ」
〈みーさん?〉
〔あ、こ、こんばんは!〕
〈こんばんわ。君がみーさんか。それで、用事って?〉
「今から言う場所に討ち入りに行くからサポートしろ!」
〔……だ、そうです〕
〈はいはい。で、場所は?〉
〔……正確には分かりません。でも、回りの景色とか外観は分かります!〕
〈そんなんで分かると思ってるの? ま、いいや。言ってみて〉
〔えっと、えっと……〕
二分後
〔それで、えーっと……あ、なんか変な物が屋上に有った気がします!〕
うんさっぱり分からない。
〈あ、見つけた〉
「だから毎度毎度早ェなおい!」
〈ん? 文句有るの?〉
「ありませんよ……」
〈画像送るよ〉
「あいよ」
さて、パソコン起動させるか……。
「ってもう来てるしメール」
……ん、コイツの説明じゃさっぱり分からなかったけど写真は見ないほうが良いか、俺?
「みーさんだけで見て」
〔ああ、うん〕
……。
「くーさん、生理来た?」
〔!?〕
〈三日前に来て昨日収まった〉
「ッち、昨日電話すりャ良かったな」
〈わざわざ発情してる時に電話しないでくれる?
こっちは明日発情してるかも分からないんだから
それに今回パンツ二枚ぐしょぐしょにしちゃったんだから〉
「馬鹿かお前。エロいからわざわざそのタイミングでするんだよ」
〈死んだ方が良いと思うよ。まったく、他の人は周期有るけど私は違うんだよ? 来るタイミングも長さもバラバラなの。救いは一週間は開くことだけだよ〉
「あッそ、あと仕事中も連絡するから」
〈そうなの?〉
「ああ、今回の仕事はいつもと違う。正直死ぬかも分からん」
〈…………死なせないよ、この私がサポートをするんだ〉
「……悪ィな、くーさん……。……なあ、みーさんどうだ?」
〔……此処です〕
「場所、合ってるッてよ」
〈そう? 良かった。……さて、ハッキングしてみるよ〉
「は?」
〈内部ルートも必要でしょ? だからハッキングして送る。ウイルスも無くさなきゃ駄目なんだから大変なんだよ……〉
「……ホント、悪ィな」
〈こんな道に誘った報いを受けてほしいね〉
「自殺を止めてもらった人に言うかそれ」
〔自殺!?〕
「ん、あー……いい?」
〈いいよ〉
「俺たち高校生の頃から親友なんだよ。
俺と店主は高校一年生の頃からなんが馬が合ッて友達なんだが、くーさんとは二年生の頃に友達になッたんだよ。
やっぱ《天才》だから、一年生の頃から浮いてたんだ。最初は友達になろうとした奴も居たんだがな、その頃からドライでよ。
んでドンドン友達が居なくなってた時に生理ッつーかまあ発情期になってだ。変態女ッて呼ばれるようになッてよー。
で、そのまま繰り上がッて進級。んでー、二ヶ月くらいだッたか? に俺たちが遅刻して走ッてるときにアイツが歩道橋の上にいてよ、そこを俺たちが助けたのよ」
〈それで私がこいつに惚れたって訳。まさかこんな奴に惚れるとはね〉
「なに、発情期には俺のことでも思い出してるのか?」
〈うん。でそろそろハッキングしに行っていいかな?〉
「あいよー」
ガチャ
〔…………スケベ〕
「知ってる」

01/25
13:41
トゥルルルル
ガチャ
「くーさんか!?」
〈当たり前でしょ。送るよ〉
っしゃパソコン起動!
地図フォルダ!
「……これか!」
〈結構疲れたよ。ふあ……〉
「欠伸?」
〈流石に二日連続で徹夜は辛かったよ。あのドリンクは使えるね〉
「おまっ……ろくな体力も無いのに二日徹夜とか何やってんだよ……」
〈ま、いいでしょ? さて、とりあえず寝るね。何か用事あったら起こして〉
「寝てろ!」
〈はいはい〉
ガチャ
〔……来たね、ついに〕
「あァ」
【……いつ、くるかね】
「知らね」
〔……ん? 秘密フォルダってのが添付されてますよ?〕
「……どッちに秘密なのかね?」
〔さあ?〕
「ま、とりあえずみーさんが開いてえちィかッたら閉じて俺によこしてや」
〔へ!? あの人そんなにまで送ってくるんですか!?〕
「おう。俺のシュミを把握してッからな。まー、今回は違うだろうが」
〔……開きます〕
「あーい。……お前も目ェ瞑れよ」
【あいよ】
〔…………!? これ!?〕
「どしたー?」
〔……………………何、これ……!?〕
「見ていいか?」
〔……あ、う……!〕
「……見るぜ。店主、お前は駄目だ」
【ちっ】
「……なんだよ、これ……!?」
地図フォルダと変わりはしないマップ。
でも……文字が、付いている。
最悪な文字が。

とある部屋の一室には、
人体実験室
と、
機械実験室
と、
動物実験室
と。
……そして、

…………………………………っざっけんなよ糞野郎が!!!!
こんなの無ェだろうが!
こんな、こんなの!
どうして、
咲原管理室なんてものが!
どうして
咲原実験室なんてものが!
どうしてッ……どうして
咲原闘技場なんてものが!!
どうしてッ!
咲原―――
なんて物が有るんだよ!!!!!!!!
「……ッざけんなよ……」
こんな馬鹿げてるモン、さっさと終わらせてやる……。
……くそ、だがこっちからは行けない!
面倒くさぇなあホントによお!







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